インド東部、ビハール州のネーランジャヤー河のほとりにガヤーの街があります。ここは、お釈迦さまが、2,500年前に覚りをひらかれた地であります。
《ブッダの覚り》
釈迦族という王族の生まれであったお釈迦さまは、王子として何不自由ない生活を送っておりました。かれは王子でしたので、世の享楽のあらゆるものを味わうことができましたが、そういった一時的な愉しみには続くものではないと感じておりました。そして、本当の人生における「楽」とは何かを考え、29歳の時 に王子の身分を捨てて出家してしまいます。
当時の高名な修行者を訪れて指導を仰ぎながら、各地を遍歴し苦行を修めていきますが、納得できる結果を得ることは出来ませんでした。その苦行は六年間にも及びました。その過酷さを今に伝えるものに、ガンダーラ博物館所蔵「仏陀苦行像」が有名です。
お釈迦さまは、極端なところまで推し進めた苦行でも、覚りは得ることはできないと考え、肉体を苦しめるのではなく(苦行)、瞑想にその方法を求めます。ガヤーの町の郊外で、一本の木の下に座り瞑想をはじめたのです。瞑想の中にあらわれるさまざまな誘惑や思念に打ち勝ち(降魔)、お釈迦さま十二月八日の明朝、完全な覚りに達しました(成道)。
《マハー・ボーディー寺》
その覚りをひらかれた場所に建立された寺院が、マハー・ボーディー寺(大菩提大寺, Mahā-bodhi-vihāra)です。本堂は、高さ五二メートルの大 塔で、本堂の裏にはお釈迦さまが成道したときに座っていた金剛宝座があります。その脇に、成道したときに陰にいたとされる菩提樹があります。
この日の大菩提寺では、 スリランカ、タイ、ミャン マー、チベット、台湾などの仏教国から巡礼者が訪れて、仏塔に五体投地し供物を捧げていました。